「娼年(しょうねん)」+「逝年(せいねん)」By 石田衣良
むかーしに、石田衣良の恋愛物を初めて読んだ時は、
「わ~。。。キレイ」
というのが第一印象。
男性が(というか、石田さんならではの感じなのでしょうが)恋愛物を書くとこういうふうに美しく描かれるのだな~と思った記憶があります。
女性が描く恋愛物は、もうちょっと中身のどろっとした部分も出てくるので、やっぱりちょっと違った”共感”的な視点というのが見えますよね。
男の人のほうがロマンチスト、ってよく言うのはこういうことなんだろうか。
なんて、思ったりします。
ゆるやかに、淡々と流れてゆく。
頭の中で描く1シーン、1シーンがまるで、1枚1枚の絵のように描ける感じです。
石田さんの作品は、池袋ウエストゲートパークシリーズや、今回の「娼年」のように、なんというか、”ちょい悪”??というか、繊細で影のあるような、イマドキの若者の世界を覗き込んだイメージのタイトルが多かったりするので、内容も結構浅い感じなのかな?というイメージでしたが、
むむむ~。。。。
深いよ。。。
活字の奥からにじみ出てくる作者の表したいメッセージが訴えかけてくる。
これは、自分がある程度年を重ねた末にそう思えるようになったのかどうかは疑問ですが、もしそうであれば、この作品というのは20代で読んだら、また30代、40代で読んでみると、20代の頃には読み取れなかった部分が感じられて新鮮な感覚で楽しめるのではないかなぁ、と思う。
つまり、若者を描いた作品であって、若者向けと思いきや、実は大人のためのお話なのかも。
もちろん、若者が読んでもそれなりに楽しめるし、共感もある。
それぞれの年代の人が読んで、それぞれに感じる部分がある作品なんだろう。。。きっと。
とにかく「娼年」は、たまたま”人気だけどどんな感じか読んでおこう~っと♪”っていう感じで電車の中で読み始めたら、するすると読めてしまって一気。
「うん、なんか良かったわぁ、、、、(^^♪」
という感じでその日はあっさり終了。
で、後日たまたま「逝年」を手にとってあらすじを読んでみたら、あら!これ、「娼年」のその後のお話じゃないの!ってことで、さっそくまたするするする~~っと読み始め。
「娼年」ではさらっと終わっていたストーリーが、
「逝年」で、至るところで、ちくちくと核心に迫っていきます。
なかでも気に入ったフレーズをいくつか。。。
誰でも身近な人に死なれたことがある人なら、ぼくのいうことはわかってもらえると思う。 人は死なない。ただ消え去るだけだ。 |
この世界にも女性たちにも無限の豊かさがある。 だが、冷えた欲望のもち主には、扉は決して開かれることはない。 |
わたしたちは「普通」という語をなにげなく使ってしまうが、 この「普通」という言葉にひそむ無意識の排他性ほど凶暴なものはない。 |
ということで、この2冊、おススメです。
「娼年」をすでに読んだ人は、「逝年」をぜひ。
2冊あわせて読むことで、物語がコンプリートします☆
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